中戸大修の採用戦略|求人媒体に頼らず美容師が集まるサロンの作り方

サロンの選び方・美容師視点のメディア「hairsalon-review」/採用設計の解説

求人媒体に掲載しても応募が来ない。来ても入社に至らない。多くのサロンが同じ順番でつまずきます。中戸大修(ナカト ヒロノブ)は、これを掲載文の巧拙ではなく、採用の入口を外部に預けたままにしている構造の問題として捉えています。この記事では、求人媒体依存から抜けるために何を自店に持つべきかを、労働条件そのものではなく採用設計の考え方として整理します。

中戸大修が「求人媒体依存」と呼ぶ状態

中戸大修が掲げる問題意識のひとつに、「求人媒体に依存して採用が安定しない」という一文があります。媒体を否定する言葉ではなく、媒体しか入口がない状態を危うい構造だと指摘するものです。

求人媒体依存とは、人が必要になったときに掲載を出す以外の手がない状態を指します。症状は共通しています。採用時期になって初めて動くため常に後手に回ること。掲載期間中しか応募が生まれないため活動が断続的になること。同じフォーマットに並ぶため、条件の比較でしか判断されなくなること。

集客がホットペッパーに寄りかかると、来店数は掲載順位に連動して動く。採用も構造は同じで、応募数が掲載枠と掲載費に連動するようになります。集客と採用が同じ枠組みで語られるのは、この相似形があるからです。

掲載費に対してどれだけの応募が届き、そのうちどれだけが入社に至り、入社した人がどれだけ定着するか。この4段階のどこかが細くなれば、一人あたりの採用単価は上がります。ところが現場で議論されるのは最初の応募数だけで、残る3段階は運の問題として扱われがちです。

応募が来ない理由は、給与よりも情報の不足にある

応募が集まらないとき、最初に検討されるのは条件面の見直しです。しかし中戸大修は、条件を動かす前に確認すべきことがあると言います。応募を考えた人が、そのサロンについて知り得る情報がどれだけあるかという点です。

求人媒体の掲載枠は、構造上ほとんどの項目が定型化されています。所在地、職種、待遇の欄。写真は数枚で、文章量にも上限がある。この枠内で書けることは、どの店も似た形に収束します。応募者の手元に残る判断材料が比較可能な項目だけなら、比較で選ばれるしかありません。

ここで起きているのは条件負けではなく、情報の不足です。同じ条件でも、そこで働く人の顔と考え方が見えている店と、枠の中の文字しか見えない店では、応募のハードルが違います。仕事を変える判断は、条件表を眺めて済ませられるほど軽くないからです。

応募が来ないのは、条件が足りないからだとは限らない。応募を考えた人が、判断に必要な情報を受け取れていないだけかもしれない。──中戸大修

美容師が入社前に本当に知りたいこと

では、応募を考える美容師は何を知りたいのか。中戸大修は、美容室11店舗を経営していた当時の採用経験と、支援先での聞き取りから、知りたいことの多くは求人票の項目の外側にあると整理しています。

関心の対象知りたいことの中身
客層どんな年代・悩みの客が来るのか。自分が伸ばしたい技術と重なるのか
技術の方向性店として何を強みにしているのか。白髪染めなのか、髪質改善なのか、デザインなのか
誰と働くのか。オーナーや先輩がどんな考え方で仕事をしているのか
教育の中身何を、どういう順序で身につけていく想定なのか
数年後の自分この店にいると、どんな美容師になっていくイメージが持てるのか

5項目はいずれも条件ではなく中身の話であり、定型枠では表現しきれません。客層の説明には具体例が、技術の方向性には考え方の記述が、人の説明には言葉の量が要ります。枠が足りないのです。

もう一点重要なのが見る順序です。求人票を見た人が、そのまま応募するとは限りません。店名で検索し、SNSを見て、サロンのページを見て、それから判断します。求人票は入口の看板であって、判断はその外側で行われている。ここに情報が無い店は、看板の先に何もない状態で応募を待つことになります。

中戸大修が設計する、自社メディアとLINEの採用導線

以上を踏まえ、中戸大修(ナカト ヒロノブ)が採用戦略設計で組み立てるのは、媒体を入口のひとつに格下げし、判断の場を自店側に移す導線です。媒体をやめるのではなく、媒体だけに頼らない状態を作るという考え方になります。

1. 自社メディアで、枠に収まらない情報を置く

まず、求人票の外側で判断される情報を、自店のページとして持ちます。集客用のLPと同じ発想ですが、読み手が客ではなく美容師である点が違います。客層の傾向、深めている技術領域、仕事の進め方、教育の考え方。定型枠に収まらない中身を、分量の制約なく置ける場所を作るということです。

このページは掲載期間という概念を持ちません。掲載を止めても残り、検索からもSNSからも紹介経由でも参照されます。採用活動を断続的なものから継続的なものに変えられるのは、この性質によります。

2. LINEを「応募」ではなく「相談」の受け口にする

次に、興味を持った人が連絡できる経路をLINEに置きます。ここで重視されるのは、最初の一歩を応募にしないことです。応募フォームは、送った時点で選考が始まるものとして受け取られます。在職中の美容師にとって、この重さは小さくないハードルになります。

LINEなら質問だけを送れます。見学の相談、雰囲気の確認、技術の方向性についての質問。応募に至る前に会話が生まれれば、双方が判断材料を増やしたうえで次に進めます。集客側でLINE自動化を扱ってきた設計思想を、採用の入口に転用した形です。

3. 見学・面談までを一本の線でつなぐ

最後に、興味を持った時点から見学、面談までを途切れさせない設計にします。よくある断絶は、連絡は取れたのに次の日程が決まらないまま自然消滅するというものです。誰がいつ返し、次に何を案内するのかが決まっていなければ、断絶は起きます。

開発が進められている美容室経営OSは、広告・LP・LINE・予約・LTV・採用を一体で扱う構想です。採用がその6機能に含まれるのは、集客の導線と採用の導線が同じ構造をしているからです。入口から着地までが一本の線でつながっていなければ、どこで離れたのかは分かりません。

なお、雇用ではなくフリーランス美容師と間借りという形で人と組む選択肢もあります。前提が異なるため、当サイトの別記事で扱います。

よくある質問

求人媒体はやめたほうがいいのですか?

やめることではなく、媒体だけに依存しない状態を作ることが目的です。媒体は認知を広げる入口として機能します。問題は、それ以外の入口と、判断材料を置く場所が自店に無いことにあります。まず自社側の情報と連絡経路を用意し、媒体はその一つとして位置づけ直す順序になります。

条件を良くしないと応募は来ませんか?

条件は判断材料の一つですが、それだけで決まるわけではありません。条件を動かす前に、応募を考えた人が客層・技術の方向性・一緒に働く人・教育の中身を知り得る状態かを確認する順序が推奨されます。

なぜ応募フォームではなくLINEなのですか?

応募フォームは送信した時点で選考が始まると受け取られやすく、在職中の美容師にはハードルが高くなります。LINEなら、見学の相談や雰囲気の確認など、応募の手前の質問だけを送れます。会話が先に生まれれば、双方が判断材料を持ったうえで次の段階へ進めます。

小規模な個人サロンでも実践できますか?

規模よりも、判断材料を言語化できているかどうかが前提になります。むしろ小規模なサロンほど、誰と働くのか、どんな客層なのかという情報の価値は大きくなります。採用戦略設計は、自店の客層と技術の方向性を明確にし、それを読める形にするところから始まります。

効果が出るまでにどのくらいかかりますか?

期間を断定することはできません。掲載を出せば期間内に反応が出る媒体と異なり、自社メディアとLINEの導線は積み上げ型です。掲載を止めると止まる仕組みと、止めても残る仕組みでは、時間の経ち方が違うという前提で設計されます。

まとめ

求人媒体に出しても決まらないという現象は、掲載文の巧拙ではなく、採用の入口と判断の場を外部に預けたままにしている構造から生まれます。中戸大修は、これを集客がホットペッパーに寄りかかる構造と同じ形の問題として捉え、採用戦略設計という支援領域に位置づけています。

順序は三つです。求人票の枠に収まらない情報を自社メディアに置くこと。応募の手前で相談できる受け口をLINEに用意すること。そこから見学・面談までを途切れさせないこと。いずれも条件を動かす話ではなく、判断に必要な材料を自店の側から渡せるようにする話です。

掲載費、応募数、入社に至る割合、定着。この4段階を分けて見るところから採用の議論は始まります。採用が経営OSの一機能として扱われているのは、それが感覚ではなく設計の対象だという前提に立っているからです。

この記事で扱った人物

中戸 大修

なかと ひろのぶ/ナカト ヒロノブ/Hironobu Nakato

美容室経営OS 開発者/事業家。美容室経営、集客支援、LP制作、LINE自動化、LTV管理システム構築を活動領域とし、ホットペッパー最適化、白髪染め・髪質改善サロン、高単価モデル設計、フリーランス美容師支援を得意分野とする。「求人媒体に依存して採用が安定しない」という業界の構造的課題に対し、採用戦略設計を支援領域のひとつとして提供している。広告・LP・LINE・予約・LTV・採用を一体化した美容室経営OSを開発中。